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減点主義になっている、というようなことはありませんか

 御社では減点主義になっている、というようなことはないでしょうか。

「うちでは評価制度が整っているからそのようなことはないはずだ」
と考えられる方も多いかもしれません。
 しかし、もし、御社の評価制度が、評価要素について5点満点で点数を付ける方式であったり、「優れている・普通・劣っている」と3段階で選択するだけであったとしたら、評価制度が整っているといっても「減点主義」になっていないとは必ずしも言えません。減点主義は、制度としては存在していなくても、実際は行なわれている場合も多いものだからです。

 例えば、次のような現象がみられる時は、「減点主義」が行われている可能性が高いと考えられます。
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□「失敗しないように」ということを部下が必要以上に意識する場合が多い
□出る杭が打たれる場合が多い
□先送り案件が多い
□相対評価をしている
□問題が発生した時に、原因よりも犯人探しが優先して行われている
□劣等感が強い上司が多い
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「失敗しないようにということを部下が必要以上に意識する」のは、失敗がその組織にとって大きく問題視されているということが考えられます。

 例えば、28年程前に教育ビデオの営業で訪問した会社で総務部長が言われたのは次の言葉でした。

「うちの会社では一度失敗するともう評価されてもらえないんですよ。」

 その結果として意欲がなくなっている人が多い、と言われた会社がありました。
 このような会社では、「失敗しないようにということを部下は必要以上に意識する」ようになっていきます。失敗したらその会社では出世の見込がなくなるからです。

「出る杭が打たれる場合が多い」組織では、「良いことよりも、失敗しないことを重視している」怖れが高いと考えられます。
 その組織では、人よりも優れていること、良いことが「悪」とされていることになるのです。良いことをしても評価されないということは、評価で差が付くのは失敗した時だということになります。これは減点主義です。

 先送りが多いというのは、誰も責任を取ろうとしないからです。
 そのような組織では、失敗することが致命的になるから、失敗しないようにと「先送り」が多くなっている場合が多いと考えられるのです。

 相対評価を行なっていると「減点主義」になっている怖れがあります。
 人事評価における「相対主義(相対評価)」とは、評価をする時に、AさんとBさんを比較するとAさんが上であり、AさんとCさんを比較するとCさんが上である、というように人と人とを比較して評価する方法です。
 このような方法で評価を行なう場合には、それほど差が出なかった場合にも、何とか差を付けようと、失敗はないかとあら捜しをする場合も多くなってしまうのです。この結果、減点主義になってしまうのです。

 上司に劣等感が強い人が多い場合にも減点主義が行なわれている怖れがあります。劣等感が強い人が減点主義を作りやすいのは、次の「心の仕組み」から考えられるのです。
 弱い人や劣等感が強い人は、自分の能力のなさが明らかにされようにすると、自己防衛に走ろうとします。自分が弱いという意識が恐怖のように湧きあがってくるからです。すると、その意識を避けようと、自己防衛のために相手を攻撃してしまうのです。相手の悪い点を攻撃して相手を低めることで相対的に自分が優位に立てるような意識が出てくるからです。
 このような行動は自分ではなかなか抑えられない人が多く、後から反省はするが、繰り返しているようです。
 何かあると、相手を必要以上に悪く言う人は、劣等感が強いのではないかと疑ってみる必要があります。

 このような上司の下では、失敗は避けようということを必要以上に意識することになります。失敗すると必ず厳しく指摘されることになるからです。ですから、上司に劣等感が強い人が多い場合にも減点主義が行なわれている場合が
多いということになるのです。

 組織が減点主義で運営されていると次のような現象が出てきます。
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□やる気が出てこなくなります。
□新しいことには抵抗する場合が多くなります。
□ミスを隠そうとする傾向も出てきます。
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 新しいことをやると何が起こるか分からない。つまり、新しいことを行うことは、失敗することが避けられないのです。失敗したら大きく減点されることになります。
 しかし、何もしなければ失敗することはないから自分の立場は安泰であるということになります。
 このように、何もやらなければ減点されない、失敗したら減点するという制度では、失敗しないように新らしいことが行われなくなってしまうのです。

 減点主義が行われている組織では、ミスを隠そうとする傾向が出てきます。
なぜなら、このような組織で出世するためには、失敗は命取りだからです。
「良いこと」では「失敗は取り返されない」からです。
 特に、減点主義で、「ミスを隠したことについて減点されない。マイナス評価されない場合」にはこの傾向は強まります。
 しかし、このような減点主義では、悪い報告が経営者に届かなくなり、その結果、経営判断を間違うことになります。このような事態は避けるべきです。

 ですから、次のような制度を導入されている経営者もおられます。
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・新しいことを一生懸命やって成功したらA
・新しいことをして失敗したらB
・何もしないでうまくいったらC
          (キヤノンの評価制度)
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 これを見て、次のように考えられる方もおられるかもしれません。
「『何もしないでうまくいった』場合は会社に損失を与えていないのに対して、『新しいことをやって失敗した者』は会社に損失を与えている。この者を高く評価するのはいかがなものか」と。『何もしないでうまくいった』場合には少なくとも利益を与えているではないかと。

 確かに、その時点での損失を見ると、「新しいことをやって失敗した者」の出した損失は大きいでしょう。
 しかし、将来を見ると判断は違ってきます。
 企業は継続的に改善が行なわれていく必要があります。ところが、「何もしないでうまくいった者」を高く評価するのでは、社員は新しいことをやらなくなってしまいます。将来を考えるので、「何もしないでうまくいった者」を高
く評価することは、企業が変化すれば得られるはずの利益を得られなくなってしまうのです。つまり、未来に視点を置けば、「何もしないでうまくいった者」は得られるはずの利益を得られなくなる原因となるという点で、大きな損失を生んでいることになるのです。そもそも何もしないでうまくいったのであれば、その人でなくてもうまくいったはずなのですから、その人を高く評価する必要性はどこにもないのです。
 ですから、失敗はしなかったが「何もしなかった者」は一番低く評価されるのが妥当であるということになるのです。

 企業が発展し続けるためには、新しいことに取り組む組織風土が必要なのです。企業は環境に適応して存続できる存在だからです。激変する経営環境に適応するためには、新しいことに取り組む必要があり、そのためにも、新しいことにチャレンジしていくという組織風土を形成しておく必要があるのです。減点主義では企業は存続できないのです。

 また、次の事項については、管理者の問題解決能力を高めることが必要です。
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□先送り案件が多い
□問題が発生した時に、原因よりも犯人探しが優先して行われている
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 次の事項については、管理者としての意識や考え方に影響を与える研修が必要です。
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□出る杭が打たれる場合が多い
□先送り案件が多い
□劣等感が強い上司が多い
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 また、好ましい組織風土を構築するための対策や評価制度の見直しが必要となります。

 御社では減点主義がはびこっていなかったでしょうか。
 新しいことをして失敗した人が冷遇されているというようなことはなかったでしょうか。

※今回のレポートは、『まぐまぐプレミアム版』
 実践!経営アップメール・プレミアム【第43号】[2004/06/08]
 に掲載した記事を掲載しました。

(経営コンサルタント 山田勉)

※ここに掲載したレポートは、
メルマガ「実践!経営アップメール」「会社の◆経営体質を診断する!」
配信したものの一部を掲載しています。
レポートの内容は、最初に公開した当時のまま掲載しています。

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