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「事業」のプロセスを変えることで資金繰りを楽にする方法

「赤字が続いているんです。」
とB社の社長さんが言われたのです。年商8億、従業員50名ほどの土木の会社です。
 そこで、改善できる可能性を探るために、3日間で診断をして原因分析と対策を提示しました。
 赤字の原因は原価管理が行われないために赤字工事になっていたことにあったのですが、更に、銀行からの借り入れに対する利息支払いに、利益を全額当てていたということも大きな原因でした。
 
 事業を行う上で資金繰りは楽になるようにしておく必要があります。
 そのためにも、今後は、銀行からの借金は、できるだけ少なくする必要があります。
 そこで、今回は、「事業」のプロセスを変えることで資金繰りが楽になる例をいくつか紹介しましょう。

 製造業では見込み生産と受注生産があります。
 高価な品物の場合には、見込み生産では在庫を多く持つことができません。資金繰りに悪影響を及ぼすからです。そうかといって受注を受けてから生産するのでは、納期が遅くなります。そこである業界で考えたのが、商品の種類を決め、過去の売上状況からある程度の見込みを付けて生産しておくという方法でした。見込み生産と受注生産の中間のような方法を採用したのです。この方法であればデッドストックも避けられ、資金も少なく出来るし、納期も早める事が出来るからです。
 この方法を採用しているのが自動車メーカーです。

 売上が急激に上がると資金繰りが大変になると言われます。これは、売上が増えると仕入代金も増え、通常は回収よりも支払いが先になる事業が多かったからです。
 しかし、支払いと回収が逆になっている事業もあるのです。

 例えば、スーパーなどでは、商品の仕入代金を払う前に売り上げています。すると、売上代金から仕入代金として支払うまで、無利息の資金を使えることになります。この方法が取れれば、売上が急激に増えた場合でも銀行から借りることなく事業を運営できます。

 この方法と同じ方法を考えたのが、コンピュータメーカーのデルでした。
 デルが考えたのは、非常に早くコンピュータを作って顧客から早く代金を受け取る方法でした。デルはこの方法で、仕入れ業者に払う前に代金を回収する事業にしたのでした。いくら売上が増えても資金繰りに困る事はない事業にしたのです。

 コンピュータメーカーは、インターネットで直販をしていますが、代金は前払いとしています。回収が困難になる場合が発生しそうだとか、あるいは資金繰りが大変になりそうだと思われる場合には、前払いや商品引き渡し時に決済という方法を採る事も考える必要があります。

 実は、回収が先という事業は意外と多いのです。
 例えば、教育事業やコンサルタント業がそうです。
 提供するものが「物」であれば、支払いがなければ現物を回収することができます。しかし、提供するものが「知識・ノウハウ」の場合は、回収が不可能です。教育やコンサルタント業が「事前支払い」としているのは、この点に大きな理由があります。このような事業の場合には、代金を前受けするので固定費を多くしなければ資金繰りに困る事はそれほど発生しません。

 保険業もそうです。
 もっとも、保険業の場合には、事故が発生したら払うが、事故が発生しなかったら払わないという先が出てくる虞があるので、先払いにしておく必要はあります。

 回収が先というのは建設業もそうです。
 着手する時に総額の一定割合を受け取ります。その受け取った金額でその工事費用の支払いに当てるのです。工事がある程度進んだところでまた工事代金を受け取ります。工事費用の支払いよりも先に工事代金を受け取る事で資金繰りは楽になるのです。もっとも、建設業はこのために丼勘定になっている会社が多かったのです。建設業が倒産しやすいのも、この点が大きな原因の一つとなっています。

 店舗を持つ商売では、店舗を増やすには多くの資金が必要となり、急激に店舗展開をするのは困難です。しかし、この場合も可能な方法があります。
 例えば、スーパーのダイエーは、現在、産業再生機構の支援を受けて経営再建を目指していますが、以前ダイエーが店舗展開を可能にしたのは、土地の活用でした。
 店舗に必要な倍の土地を購入し、店舗が開店すると、店舗の周辺の土地の値段が上がります。土地の値段が上がった頃に、土地の半分を売却することで、店舗のある土地はタダで手に入れたようになったのです。この方法でダイエーは店舗展開を可能にしたと言われました。
 バブルが崩壊し、土地の値段は下がりましたが、現在、土地の値段は二極化していると言われています。価値のある土地は上がっているのです。ですから、以前ほどのメリットはない場合が多いとは考えられますが、土地を活用して店舗展開する方法は考慮の余地があります。
 
 土地の活用の他に急激に店舗展開をする方法もあります。それはフランチャイズシステムです。フランチャイズシステムを採用すれば、加盟料が入り、店舗建設資金も加盟店が払うので、急激に店舗展開が可能になるのです。

 このシステムはメーカーでも可能です。
 新商品を取り扱う代理店を募集する時に、代理店加盟料を徴収するのです。その上で商品を納品することにすれば、代理店が増えて売上が急激に増えて仕入代金が増えても対処が可能となります。
 もちろん、この場合は、代理店加盟料を払っても代理店になる魅力のある事業にする必要があります。そのために、「収支モデル」も作成して利益の上がる事業と納得できるようにしておくことが有効です。
 
 また、メーカーの場合でも、代理店への販売は、納入後、短期間で支払われるように設定しておくことも有効です。

 事業が施設・設備を必要とする場合には多くの資金が必要となります。
 資金がない場合でも、出資者を募って施設を作る方法もあります。
 例えば、あるコンサルタントが、健康ランドを作りたいと思い、出資者を募って健康ランドを作ったという例があります。もっとも、この場合は、事業主に対する信頼性、企画力等が重要となります。

 以上の例は、事業のプロセスを変えるだけで、資金繰りを楽にすることが可能だということです。

 さて、このように見てくると、「助成金を使えば良いじゃないか」と思われる方も出てくるでしょう。そこで、この点を考えてみましょう。
 以前、空気清浄機などの住宅環境整備機器を扱う株式会社カンキョーという会社がありました。店頭公開を予定していた急成長ベンチャー企業でした。
 この会社では、社長だった藤村氏の考えで、研究開発費は返済の必要のない助成金等で多くを賄っていました。返済が必要ないのだから、資金繰りで破綻することはないという考えです。このような資金を数億円集めていました。しかし、カンキョーは1998年11月27日、会社更生法の適用を申請したのでした。

 借金がないと事業経営が真剣にならないと言われる方もいます。まして、返す必要のない助成金で事業を行ったのでは、事業経営にゆるみが出てくる虞が高いのではないかと思われるのです。
 助成金を使うのはメリットはありますが、このようなデメリットもあるということを認識しておく必要があるでしょう。

 御社の事業はいかがだったでしょうか?
 売上が増えると必要な事業資金が多くなるという事業ではなかったでしょう
か?
 資金の流れを逆にできるか検討されたでしょうか?

※今回のレポートは、『まぐまぐプレミアム版』
 実践!経営アップメール・プレミアム【第65】[2005/05/10]
 に掲載した記事を掲載しました。

(経営コンサルタント 山田勉)

※ここに掲載したレポートは、
メルマガ「実践!経営アップメール」「会社の◆経営体質を診断する!」
配信したものの一部を掲載しています。
レポートの内容は、最初に公開した当時のまま掲載しています。

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